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日本に「トライアスロン」が伝わってきた黎明期から、選手として活躍してきた白戸太朗さん。現在はご自身で設立したトライアスロンアカデミーも運営。今回は第一線で活躍する白戸さんに、トライアスロンの魅力と仕事やプライベートにどんなよい影響が訪れるのかを伺います。
『トライアスロン』というスポーツは、とかくハードルが高いと思われがちです。でも考えてみてください。泳ぐ、自転車に乗る、走る。この3つは、日本に生まれていたらほとんどの人が"できる"こと。ただそれらの距離を伸ばしていく、そういうスポーツなんですよ」。そう話すのは元プロトライアスリートの白戸太朗さん。
白戸さんによると「トライアスロンを始める人」には2パターンあるそうで、ひとつは若い頃はスポーツをやっていたけれど、いつの間にか体を動かさなくなった30〜40代の人が一念発起するパターン。もうひとつは「これまでほとんどスポーツをやってきたことがないけれど、何か面白いことをやってみたい」と思って始めるパターン。
「もちろん個人差はありますが、初心者の方が大会で完走するようになるまでには、半年から1年くらいでしょうか。トライアスロン自体はとても単純なスポーツなので、『泳げる距離が伸びた』『いいタイムで走れるようになった』など、地道に努力をすれば必ず何らかの結果は出る。そういう"小さなゴール"を繰り返し、成功体験を積み重ねることは、メンタルに確実に影響します。みなさん前向きになっていくんですね」と白戸さん。
競技年齢が"若さ"に縛られないことも、魅力のひとつ。
「ほとんどのスポーツは20代がパフォーマンスのピークを迎えるし、競技人口も多い。でもトライアスロンは、30代を超えて始める人がとても多いんですよ。自分自身の『体の変化』と向き合わなくてはいけない年代に差し掛かったときに、コツコツと努力を積み重ねていくことによって外見、内面の両方が変化していくことに喜びを感じる。トライアスロンはそういう意味では、自分と向き合うことができる年齢の方が楽しめる『大人のスポーツ』なんです」。
トライアスロンに「ビジネスエグゼクティブ層のスポーツ」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかしその理由も、非常に明快なもの。トライアスロンはスイム、バイク、ランと3つの競技を練習しなくてはいけないため、どうしても生活の中でタイムマネジメントが必要になる。競技のためには、ダラダラと夜ふかしをしたり、つい不摂生をしたり……という生活を見直す必要が出る。
当然、自身の生活スタイルの見直しや、タイムマネジメント力の向上というのは、ビジネススキルとも大きくかかわっています。つまり、それらのスキルが高い人が、結果的にトライアスロンというスポーツにも適しているということ。だからこそ、白戸さんも「ビジネスマンの方にこそオススメ」と太鼓判を押します。
「走ったり、自転車を漕いだり、泳いだり。このすべてを"一人"でやるものですから、自然と一人でゆっくりと考える時間になる。これは仕事について思考を整理するのはもちろん、自分自身にも向き合う時間。必ず、ご自身によい影響を与えてくれると思いますよ。ある意味"動く瞑想"、ムービングメディテーションといえるかもしれません」。
日常の忙しさもあり、なかなか自分自身と向き合うのも難しいもの。トライアスロンはトレーニングを通して、その時間を与えてくれるものでもあるのです。
トライアスロンという競技ならではの空気感もまた、大いなる魅力だと白戸さんは語ります。
「多くのトライアスリートたちは順位を競うのではなく、『自分自身の中の目標』と戦っている。海や山など自然環境の中で長時間過ごす競技だからこそ、天候や地理条件など、自身の力ではどうにもならない状況に晒される。自身の力ではどうしようもないことに気を取られるのではなく、自分ができることに集中する。大切なのは、自分が納得したレースができたかどうかということ。だからこそ、同じ大会に出場する人たちは敵ではなく"仲間"になる。
僕はここがトライアスロンの奥深さであり、大切にしたいよい文化だと思います。競技の愛好者同士が繋がることで、家庭や職場とはまた違う『サードプレイス』を得ることができます。また、レースが長時間にわたりますから、必ずどこかで辛いな、うまくいかないなという『よくない時間』が訪れます。でも大会を何度か重ねると、『よくない時間』のあとには『よい時間』も必ず訪れることがわかってくる。
これって、私たちの人生にも似ていませんか?トライアスロンは、そういうことを教えてくれる競技なんです」。