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日本初の再生医療等製品が製造承認を取得したのは、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)の自家培養表皮(販売名:ジェイス)で、2007年10月29日のことでした(※1)。
その当時は、“再生医療”という言葉すら認知されておらず、医療機器としての承認でしたが、ジェイスの登場によりそれまでの医療技術では到底救命し得なかった重度熱傷患者の命を助けられたことが話題になりました。因みに、ヒトiPS細胞が発表されたのも2007年でした(※2)。
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の山中伸弥所長が2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞されたことで「再生医療」という言葉は広く一般にも認められるようになりました。
また、2014年の法改正により、世界に先駆けて再生医療等製品の早期承認制度が整えられたとして注目を浴びて今日に至ります。
医療に革新的な進化をもたらす可能性を持つ再生医療をより早く国内で普及すべく取り組んできた成果として、承認品目も増えつつあります(※3)。
長年、日本の医療技術について、探索研究能力は非常に優れている一方、事業化への力が弱いことが指摘されてきました。
近年、国家的なシステム構築の必要性が強く叫ばれ、2015年に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が設立されました。それまで縦割りだった省庁を統括し、文部科学省・厚生労働省・経済産業省が一体となったAMEDは、「成果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の元にお届けすること」を目指し、医療分野における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進と成果の実用化に向けた取り組みを行っています。
その事業の重要な一つに「再生・細胞医療・遺伝子治療プロジェクト」があり、令和4年度の厚生労働省予算要求(※4)では54億円が提示されています。
また、産・学での取り組みも進んでいます。日本再生医療学会(JSRM)や一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)、日本CRO協会 医療機器・再生医療ワーキンググループ、再生医療EXPO等のイベントなど、日本における再生医療の研究・臨床開発や普及を推し進め、事業化を支援するべく様々な取り組みが活発になされています。EPSグループでは人財育成に横断的に取り組むとともに、これらの団体に加盟して積極的な活動に参画しています。
再生医療は新しい領域です。今後、再生医療を患者様へ届けるためには、まず、国民の皆さまの理解を得ることが最重要です。美容等の医療機関の一部では不適切な行為が行われていることも事実であり、国民に正しい知識を持っていただくための啓蒙や情報発信が必要です。例えば、JSRMでは認定制度を設け、一定以上の学識が認められた「再生医療認定医」などを検索することができます(※5)。また、患者・市民参加イベントの案内等のニュース、よくある質問に用いられる用語などを掲載しているサイトも公開されています(※6)。
本誌がきっかけとなり、再生医療に対する理解が少しでも深まれば幸いです。
EPS創薬株式会社 取締役
近藤 真次
2004年、イーピーエス株式会社入社。これまで、EPSグループにおいて再生医療推進室 室長などを歴任し、営業推進や人財育成を担当。現職にて投資先ベンチャーの支援や創薬を中心とした新規事業探索に取り組む。
【お問い合わせ先】https://www.eps-inomed.co.jp/support/