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2024/04/01
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2023/10/01
医薬品の流通管理では、薬物治療の安全性を担保する目的で、特定の製剤について「納品可否判定」を行います。これは、医療機関が特約店(卸)に薬を発注した際、特約店は製薬企業などの流通管理窓口に発注情報を伝え、納品して良いかどうかの判断を受けるというもの。主に抗がん剤や副作用の強い薬剤などが対象で、その数は400~500種ほどあります。
これまでの納品可否判定では、確実性の高い情報伝達手段としてFAXを使用。しかし、人の手を介すので処理スピードに限界があるだけでなく、どれだけ慎重に行ってもヒューマンエラーを起こす可能性がありました。さらに、場合によっては関係者間の情報共有がスムーズにいかず、判定までにかなり時間がかかってしまうことも。また過去には、大規模災害時にFAXが使えなくなり、その地域の医薬品流通が一時的に止まってしまったこともありました。
納品可否判定におけるこうした課題を解決し、患者さんに1秒でも速く医薬品を提供すべくEPファーマラインで開発されたのが、2023年5月にリリースされたWebシステム型流通管理システム「EP-Judge®」です。このシステムは、アカウントとブラウザがあれば24時間アクセス可能(※)で、特約店が納品する施設や医師の情報などを入力すると即時に可否判定が行われるというもの。判定結果は同時にMRにもメールで送られるので、何かあればMRもすぐに対応することができます。
EP-Judge®により、納品可否判定の時間は大幅に短縮されました。例えば、従来はFAX受領から判定結果の連絡まで20~25分かかっていましたが、EP-Judge®では入力時間等を含め判定まで約10分となり、短縮率はなんと50%以上。これにより、人的リソースの有効活用やコストの最適化にもつながっています。導入のメリットは、それだけではありません。デジタル化により、ヒューマンエラーの軽減やペーパーレス化を実現しているほか、万全のセキュリティのもと出先や在宅での運用もできるため、災害などの緊急事態におけるBCP(事業継続計画)への対応も容易です。
こうしたメリットが評価され、2023年9月現在、特約店の導入率は約94%(※)。現場で働く方のアンケートでは、「施設にタイムリーに納品日を伝えられる」「いつでも必要な情報を確認できる」「関係者と情報連携しやすい」「多くの製薬企業に広めてほしい」といったポジティブなコメントを多くいただいています。
開発当初は、医薬品流通管理という特殊な仕組みをシステム開発企業に理解していただくことの難しさがありましたが、時間をかけてコミュニケーションを重ねたことで、納得のいくシステムが完成し、現在、特許も出願中です。
今後は、お客様の声を反映してバージョンアップを行うとともに、CRM(顧客管理システム)などとのデータ連携も図っていく予定。患者さんのためにより良い医薬品流通に貢献すること。それが、EPファーマラインの使命です。
株式会社EPファーマライン
事業本部 事業第2部 原田 瞳(左)
オペレーション本部 市販後調査部 マネージャー 成田 備恵(右)
Webシステム型流通管理システム「EP-Judge®」の開発業務を担当。実務担当者からの視点で、従来の流通管理業務における課題点を的確に抽出しシステムを設計。流通管理業務のステークホルダー全体の作業効率化を考え、システムの普及に努めている。
【株式会社EPファーマライン コーポレートサイト】https://www.eppharmaline.co.jp/