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2022/09/01
国内SMO(※1)市場トップの株式会社EP綜合が独自開発したリモートSDV(※2)システム「SPG Remote Medical for SYNOV-R(サイノブ)」。前編では開発の背景についてご紹介しました。後編では、より社会の中で重要度を増す治験の背景と、実際にシステムがどのように活用されているか、現状と実績をお伝えします。
世の中がコロナ禍となり、新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に伴い、ニュース番組などでも「治験」という言葉をよく耳にするようになりました。これまで、治験で収集されたデータは個人情報なども含むとても秘匿性の高い情報であるため、その確認作業は直接担当者が医療機関に訪れて行う場合が多く、遠隔地からの確認は難しい仕組みになっていました。
しかし、コロナの影響で移動や訪問が制限され、以前と同様に直接の確認を行うには、支障が出るようになってしまいました。それでも、疾患を持っている患者さんのために、新薬の開発を止めることはできません。そこで、担当者が直接データのある医療機関などまで訪問しなくても、リモートでSDVを行うことができる「SYNOV-R」の需要が高まったのです。
「SYNOV-R」は、安全な環境でSDVの効率化を可能にし、医療機関に訪問することなく電子カルテ端末画面を遠隔地から閲覧する次世代型リモートSDVシステムとして、2021年6月のリリース以来、治験を行う多くの医療機関に導入されています。
リリース当初は、北海道、東北、中四国、九州地方5施設でパイロット運用を開始し、有効性を図るため実証実験を行いました。その結果をもとに、現場のニーズに応じたシステム改修を経て、2021年11月より、全国展開を開始しています。現在では運用当初にはなかった「いつ、だれが、どこで」利用するかをあらかじめ登録する利用予約機能を追加し、登録した条件以外では、リモートSDVが実施できないよう閲覧・接続制御を強化し、より安全に運用できるシステムに進化しました。
さらにリモートSDVを高セキュリティな環境で実施できるよう、EP綜合の東京と大阪のオフィスに専用のサテライト閲覧室を設置。安全性が確保された環境でリモートSDVを行っています。これは、治験を行う医療機関、治験依頼者、さらに治験にご協力いただく患者さんに治験に対する安心と信頼を提供することに繋がっています。
「SYNOV-R」の導入により従来、医療機関の中でSDVを行う際に発生していた移動時間や交通費、人的リソースなどのコストを削減することで、立地による偏在化を解消し、全国どこからでも同じ品質の治験実施を可能にします。
また今後、サテライト閲覧室の増設も計画しており、EP綜合内だけでなく治験依頼者である製薬企業内にも、基準をクリアした閲覧室の整備を想定し、より多くの治験で安全にリモートSDVを使用していただける環境づくりを進めています。これらの取り組みを通して、日本国内の治験の課題とされているスピードとコストパフォーマンスを改善し、1日でも早く新薬開発に繋げていきたいと考えています。今後も国内最大手のSMOとしてEP綜合は様々な課題解決に寄与し、尽力してまいります。
株式会社EP綜合 事業企画推進本部
事業企画推進部長 SYNOV-Rプロジェクト 畠山しのぶ(右)
事業企画推進副部長 SYNOV-Rプロジェクト責任者 高松俊一(左)
医薬治験業務プロセスのDX化推進事業に従事。先進ソリューションやサービス開発を担当。IT技術を活用した治験業務の効率化を積極的に進めており、「SYNOV-R」を普及させることで、国内の臨床開発の促進に取り組んでいる。
【お問い合わせ先:株式会社EPLink】https://www.ep-link.co.jp/contact/