血管新生療法

下肢閉塞性動脈硬化症（LEAD）とは、動脈硬化により血管が狭くなったり（狭窄）、詰まったり（閉塞）することで、足に流れる血液が不足し、冷感やしびれ、痛みを伴う歩行障害等を引き起こす疾患です。症状が進むと安静時でも足に痛みが生じ、さらに重症化した場合は潰瘍や壊死に至るなど、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。また、放置すると疾患が進行し、重症化するリスクが高まるため、定期的な検診と適切な管理が必要となります。
日本におけるLEADの有病率は中高年で１～３％と推定されており、特に高齢者に多い疾患です。LEADのリスク因子として喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症などが知られており、リスク因子の重複は発症リスクを増大させることが報告されております。
さらに、LEADの患者は心血管疾患や脳血管疾患を合併するリスクが高く、これらの合併症は予後を不良にする主要な要因となります。したがって、リスク因子の管理と早期の治療がLEADの患者にとっては非常に重要であり、患者の生活の質を大きく改善する鍵となります。

LEADの初期治療では、生活習慣の改善や運動療法、薬物療法によるリスク因子の管理が行われます。症状が進行した場合は、血管内治療（EVT）や外科的バイパス手術などの血行再建術が検討されます。EVTはカテーテルを用いて狭窄部を拡張する方法で、外科的手術に比べて患者への負担が少ない一方、再狭窄のリスクがあります。また、外科的バイパス手術は、閉塞部を迂回する新たな血流路（バイパス）を作る方法で、長期的な効果が期待されますが、侵襲性が高く、高齢者には負担が大きいことなどの課題があり、新たな治療法の開発が求められています

この様な課題を解決するため、細胞や増殖因子を血流が悪くなった箇所に投与し、血管を再生させる血管新生療法の開発が進められており、FEF創薬が開発を進めるEIM-001 も血管新生療法の一つとなります。
EIM-001 は血管新生作用を示すことが知られている塩基性線維芽細胞増殖因子（bFGF）を主成分としており、添加剤であるコラーゲンの作用によりbFGFが投与局所に留まることで、効率的に効果を示すことが見込まれます。また、EIM-001 は注射により投与可能なため、患者への負担が少なく、既存治療の適応が困難な患者、既存治療では治療効果が不十分な患者に対する新しい治療法となることが期待されています。

現在、京都大学医学部附属病院において、軽度・中等度の患者を対象とした医師主導治験（第Ⅰ/Ⅱ相試験）と、重度の患者を対象とした医師主導治験（第Ⅰ/Ⅱ相試験）の２試験が進行中です。