生体内組織形成術(iBTA)
現在、糖尿病性足潰瘍の治療にはトラフェルミン(遺伝子組み換え)等の医薬品や、「真皮欠損用グラフト」や「ヒト羊膜使用創傷被覆材」等の創傷被覆・保護材※3、局所陰圧閉鎖処置、多血小板血漿処置等が用いられています。いずれも治癒を促進する効果がありますが、血流が十分ではなく皮膚欠損が広範囲にわたると上皮化が遅延し、治癒までに長期間を必要とする場合があります。
バイオカクテル組織形成器
バイオカクテル組織形成器は、患者の体内に埋め込み、細胞シート(バイオカクテル)を体内で形成する医療機器です。バイオカクテル組織形成器で形成されたバイオカクテルは多能性幹細胞やマクロファージ、成長因子、サイトカインなど創傷治癒に関係する物質を多量に含んでおり、これを創傷部に貼り付けることで皮膚の再生が促され、欠損部の早期再生に高い効果を示します。
治療としては創部に1回貼るだけの処置で完了し、植皮や皮弁など自己健常組織の犠牲を伴わずに創閉鎖できることが特長です。また、踵など、人口皮膚による治療が適さない部分への移植も可能となっています。
バイオカクテル組織形成器
バイオカクテル組織形成器は、患者の体内に埋め込み、細胞シート(バイオカクテル)を体内で形成する医療機器です。バイオカクテル組織形成器で形成されたバイオカクテルは多能性幹細胞やマクロファージ、成長因子、サイトカインなど創傷治癒に関係する物質を多量に含んでおり、これを創傷部に貼り付けることで皮膚の再生が促され、欠損部の早期再生に高い効果を示します。
治療としては創部に1回貼るだけの処置で完了し、植皮や皮弁など自己健常組織の犠牲を伴わずに創閉鎖できることが特長です。また、踵など、人口皮膚による治療が適さない部分への移植も可能となっています。
症例 | 年齢 | 性別 | 原因となる疾患 | 主な症状 | 血行再建術 | 追加創傷措置 | 結果 (治癒までの期間) |
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1 | 46 | 男性 | 糖尿病性神経障害 | 糖尿病、肥満、高血圧、 脂質異常症 |
- | 局所陰圧閉鎖処置 | 治癒(2ヶ月) |
2 | 93 | 男性 | 糖尿病性冠微小血管障害 | 糖尿病、慢性腎不全(グループ5D)、脳梗塞、高血圧、 心房細動 |
- | - | 感染性心内膜炎により死亡 |
3 | 73 | 男性 | 包括的高度慢性下肢虚血(末梢動脈疾患) | 糖尿病、慢性腎不全(グループ5D)、冠動脈疾患、高血圧 | 血管内治療 | 脊髄刺激 | 治癒(2ヶ月) |
4 | 53 | 男性 | 包括的高度慢性下肢虚血(末梢動脈疾患) | 糖尿病、慢性腎不全(グループ5D)、冠動脈疾患、脳梗塞 | 血管内治療 | 局所陰圧閉鎖処置 | 治癒(5ヶ月) |
5 | 57 | 男性 | 糖尿病性神経障害 | 糖尿病、慢性腎不全(グループ5D)、冠動脈疾患 | - | LDLアフェレーシス | 膝下切断 |
6 | 74 | 男性 | 包括的高度慢性下肢虚血(末梢動脈疾患) | 糖尿病、慢性腎不全(グループ5D)、冠動脈疾患、大動脈弁狭窄症(大動脈弁置換術後)、脳梗塞、高血圧 | 血管内治療 | LDLアフェレーシス、多血小板血漿処置 | 治癒(5ヶ月) |
7 | 69 | 女性 | 包括的高度慢性下肢虚血(末梢動脈疾患) | 糖尿病、 慢性腎不全(グループ5D) |
回復バイパス手術 | - | 治癒(9ヶ月) |
重症下肢虚血とは、動脈硬化性の下肢閉塞性動脈疾患(Lower Extremity Artery Disease: LEAD)において虚血による安静時痛や下肢潰瘍,壊死が改善せず持続するもので、速やかに血行再建が行われます。一般的に、下肢の血行再建はカテーテル治療である血管内治療と、自家静脈あるいは人工血管を用いてのバイパス手術が行われています。しかし、膝下膝窩動脈から下腿動脈に対して、血管内治療は成績が悪く、3ヶ月程度で再狭窄や閉塞が起こる場合があります。また、使用可能な小口径(5 mm以下)の人工血管が存在しないため、バイパス手術に用いる血管は自家静脈に限られますが、静脈瘤がある、静脈が細い、既に冠動脈バイパスや末梢動脈のバイパスに使用済みである場合などではバイパス手術に使用できる血管が得られず手術は実施できません。血行再建ができなければ、感染症による死亡を防ぐために下肢の切断に至ることから、新たな治療法が求められています。